随想 4年商 村井志帆
引退して2か月、後輩から随想の締め切りを告げられ、もう私にもこの順番が回ってきたかという思いだ。私は1年生の夏にこのソフトテニス部に入部した。小学生の頃に硬式テニスをやっていた縁でこの部活の新歓に一度だけ参加。その時お世話になった3年の先輩に、「女子部が2人で頑張っているんだけど今のままではリーグに出られない。数合わせだけでも」と言われ、二つ返事で謎の快諾をした。ソフトテニスが何であるかもろくに知らないままの入部。そんな私にソフトテニスがどんな競技なのか、そしてこの部活のことを教えてくれたのが、初めて部室に行ったときに手に取った球朋誌であったと思う。
入部してから何度、初めて味わう、苦しいような、悔しいような、申し訳ないような、私の貧弱なボキャブラリーで表せられない感情を経験したであろうか。部員として居場所を与えてくれる部活に対して、貢献できないばかりか、自分がマイナスの存在でしかないような思いにも駆られた。いつも誰かに心の中で謝っていた。しかしそれと同時に、いつも自分が初心者であることを言い訳にしていた。私にとって経験者と初心者という違いは圧倒的な壁であり、私の中高6年間はこの部活で何の意味を持つのだろうかと考えていた。
こういう風に書くと、常に入部を後悔していたと思われそうである。実際、お世話になった多くの先輩からは、「村井は絶対すぐに辞めると思っていたよ。」と言われる。初心者な上に、多分誰が見ても部活に向いていなさそうな性格だからだろう。しかし実は、私は入部してから一度も「部活を辞めたい。」と思ったことがない。正直に言うと、数少ない試合での勝利の経験がモチベーションになっているわけではなかった。私が部活を続けてこられたのは紛れもなく、女子部の先輩、同期、後輩のお陰である。
ここで一人ひとり名前を挙げることは控えさせていただくが、女子部員には本当に感謝している。何かを強要するわけではないが、愛(だと思っている)を込めて私に接してくれ、時には厳しい目も向けてくれた。私の短所の一つはおそらく気分にムラがある点であり、部活ではこのことできっと何度も迷惑をかけたと思うが、懲りずに部員として付き合ってくれてやはり本当に感謝しかない。短所は残り472個ほどあり、そのそれぞれについて感謝の念を述べたいところであるが割愛。部員の部活に対する姿勢には何度も尊敬の念を抱き、刺激を受けた。部室では私のくだらない話に笑ってくれた。そして、私を受け入れてくれるこの人達に少しでも何かを返したいという気持ちで、3年半の間、ソフトテニスという競技を続けてこられたと思うのだ。
とはいいつつ、私がこの部活に貢献できたことは結局何もなかったように思う。試合ではろくに勝つことが出来なかった。よき練習相手にもなれなかった。人格的に優れていたわけでもないし、精神面でも技術面でもアドバイスができたわけでもない。最後まで自分の中の甘えに勝つことができず、限界を作ってしまった。私の脆弱な精神は体育会部員を名乗るのが恥ずかしいほどである。チームで経験した勝利の瞬間も含め、与えられてばかりの3年半であった。しかし、見守ってくれた先輩、良い面も悪い面も知らず知らずのうちに見せ合った同期、私のような人間を慕ってくれた後輩、この素晴らしい仲間に支えられて、この一橋大学ソフトテニス部で大学生活を過ごせたということは、間違いなく私の誇りである。今この文章を書きながら改めて蘇る、ここで得た反省や言葉にはできない素晴らしい感情を願わくば成長の糧にしてこれからの人生を歩んでいきたいと思っている。
最後になりましたがOB・OGの皆さま。皆さまの多大なご支援のもと、素晴らしい環境で部活動に集中できましたことに深く深く感謝を申し上げます(OB・OG担当の職務を通して特に感じるところであります)。これからはOGのひとりとしてこの部のさらなる発展を願っていきたいと思います。