ああ! 歯ぎしり

歯がしみる、噛むと痛い、といった状態になってしまい歯医者さんに行きました。「歯にひびが入っています」と言われ、またかと絶句した。十年ほど前から「奥歯にひびが入っています。ほっておくとドンドン割れてしまいますと」言われて何度か治療したが、虫歯でなくても相当に削って被せモノをした。その削られ方は、虫歯になったのと同じで虫歯のないのを自慢にしていた私はガッカリしたものだった。でも、今回の歯医者さんは、「まず接着剤を試してしてみて良いようだったらそのままにします。ダメだったら削ることにしましょう」ということで接着剤をトライした。一週間後のチェックには随分と楽になった。接着剤でどれだけもつかわかりませんができる限り削らない方が良いので試しましょうということだったが、結構もっています。だから第一の教訓は歯が割れても歯医者に接着剤という選択肢を訪ねた方が良いということです。

 

 更に歯医者さんから「歯ぎしりの癖なんてありませんか?」という質問があった。寝ているときの歯ぎしりの力は起きている時の何倍もの物凄い力がかかり、それが欠けやひび割れの原因につながっているということはよくあるのだそうだ。「自分ではわかりませんが、子供の頃にはよく歯ぎしりをしていると言われたものです」というと、じゃあマウスピースを作りましょうという。寝るときにはめるものだそうだ。ボクシング選手がしているようなイメージで市販の既製品を買うのかと思ったら、念入りに型をとっての特注品で翌週出来上がりますということだった。(写真参照)このマウスピースを嵌めて寝るということが我慢できるのか大いに不安だったわけですが、どうやら大丈夫なようです。イヤ、入れ歯をしている方なんていくらでもいるわけだから、大丈夫に決まっているといえばそれまでです。

 

結果はたぶん成果をだしているようです。サンフランシスコ出張の時に持っていくのを忘れて新しい割れを作ってしまい大いに後悔しました。酒を飲んでも毎日こいつを装着してから寝る習慣を作るのは大変です。今は緑内障の薬を点眼し、マウスピースを嵌めるのが寝る前の儀式です。まずいのは寝る前の儀式なので寝るときにならないと思い出さず、出張や旅行に持っていくのを忘れてしまい恐々ベッドに入ることもあります。ということで、第2の教訓は歯ぎしりのある方へのマウスピースの勧めです。年をとると歯の質がより固く粘りのないものに変わっていくので、若いうちは大丈夫でも割れたりひびがはいったりというリスクが上がるそうです。

 

 今にして思えば、私の歯は虫歯が一か所だけなのに、欠けているのひびが入って割れているのと言われて5本ほど削ったり被せたりしています。最初にヒビを治療した歯医者さんが歯ぎしりよけのマウスピースを薦めてくれていたら何本かの歯が助かっていたかもしれない。やはり、歯ぎしり続きの人生だったもんな。酒を飲んで憂さ晴らしをしているだけでなく、マウスピースも必要だったのだ。そう思うと、さらにまた残念で歯ぎしりしたくなってしまう。

 

       2013年2月  金井章男