随想
社会学部4年 瀧根有紀子
ソフトテニスはもう懲り懲りだ。
そう思っていたはずが、入学式のその日にソフトテニス部の新歓についていったのは、自分の中でソフトテニスに対する未練があったのが半分と、野田先輩が「とりあえずご飯だけでも!」と熱心に誘ってくださったからが半分だったように思います。松見先輩、野田先輩という鴎友時代からの先輩がいらっしゃるという安心感があり、浪速の申し子といっても過言ではないほど明るく面白い村井先輩と優しいお姉さんのような存在の遠藤先輩が温かく迎えてくださって、そんなアットフォームな雰囲気に惹かれました。体験練習で最初の一球を打ったとき、足で土を噛みしめる久しぶりの感触にゾワリとし、あのクレーコートに打球音が心地よく響いて、その瞬間、ここでソフトテニスをやろう、と決めました。
正規練は週2しかないから勉強やバイトとも両立できる、と思ったのですが、すぐに正規練だけでは物足りなくなり、自主練のみならず男子の正規練にも時々参加させてもらいました。男子の強烈な球へ喰らいつくのに必死で息が苦しくなるのに、2面に120人以上いた中高の頃を思い返せば、たくさん打てるというだけで幸せでした。
入部当初、女子部は一番下の10部リーグにいました。松見先輩が女子部を復活させてくださってから初めて昇格できたのは私が一年生の秋リーグのときでした。駒澤大学と優勝争いになり、私は一番手で負けてしまったのに、二番手の野田先輩が快勝、三番手では同期の栗原・岸田が天秤戦を制して優勝を決めてくれました。あのときの部員皆が歓喜の雄叫びを上げた場面は今でも鮮明に脳裏に焼き付いています。東京女子大学との入れ替え戦では自分も松見先輩と組んで勝つことができ、復活後初めての昇格を経験することができました。その後、二年生の春でも8部昇格を達成し、チームは勢いづいていました。
しかし、次の秋、その勢いをもってしても、7部への壁を壊すことができませんでした。「松見先輩と一緒に7部に昇格する」という一度きりしかないチャンスを掴むことができませんでした。
松見先輩の引退後、私は主将に任命されました。決断力のない私は主将として頼りなかったと思いますが、岸田、栗原、横田という本当に心強い同期がいた私は恵まれていましたし、正規練日の増設をはじめ私たちのやりたいようにやらせてくださった先輩方の懐の深さには頭が上がりません。三年生の春には澤部が入部し、女子部は一層にぎやかになりました。「村井先輩、遠藤先輩、野田先輩と一緒に7部に昇格する」というのが次の目標になりました。しかし、春は3位、秋は2位に終わり、その願いも叶いませんでした。さらに言えば、あと一勝をもぎとるためのあらゆる努力をしてきたつもりでしたが、四年生の春も前回と変わらず2位で、自分たちの半年間はなんだったのだろうかという思いさえしました。
私がそのとき誓ったのは、老害にならないこと、です。言い換えるならば、自分の実力に自分で限界を作らないこと、です。泣いても笑っても四年生の秋のリーグが最後。そのときに後悔したくない。これだけ努力してもまだ足りないということは、自分たちにはまだまだ伸びしろがあるということだと前向きに捉えようと思いました。
女子部のいいところは、皆向上心が高いことです。四年生の春には瀬川、瀬口、大橋が、そして十月には多部田が入部してくれましたが、彼女たちが熱心に練習するのに負けてられないという思いが自然と湧きおこり、部も活気づきました。主将を引き継いだ澤部は革新的に部を運営してくれて、こういうところが私には足りなかったのだろうなと気づかされました。そして迎えた秋リーグ、5度目の正直で8部優勝7部昇格しました。卒業された先輩方とも一緒に戦っているつもりで試合しました。あの悔しかった数々のリーグがあったからこそ今回の昇格があると思っています。
「思いは思っているだけではと伝わらない」ことを四年間、特に主将時代に痛感したので、この場をお借りして感謝を伝えたいと思います。
毎回白子に来て激励してくださった関さんをはじめ、OBOGの皆様方にはこれまで多くのご指導・ご支援いただき心より感謝申し上げます。女子部の礎を築きここまで導いてくださった諸先輩方、下から猛烈に突き上げてくれた後輩たち、女子部と一緒に部を作ってくれた男子部の方々、一橋ではないのにコートに来て指導してくださった方々、特に気さくに声をかけて練習してくださった須貝さん、何度も練習や試合に足を運んでくださった三好さん、いつもコート整備をしてくださった方々、支えてくれた家族と中高以来の友人、その他関わってくださった方々、本当にありがとうございました。そして優柔不断なくせに頑固なところもあって扱いが面倒だったであろう私を、時に叱り時に励まし共に戦ってくれた同期のみんな、ありがとう。これからもよろしくお願いします。
四年間振り返ると、私は部活と一緒に成長させてもらったなという思いがします。思っていたよりもずっとテニスは奥深くて、どこまでいっても新しい発見があって、テニスに懸けた四年間は本当に充実していました。
引退して、もう自分の力は出し切ったし、体は痛いし、ソフトテニスはもう懲り懲りだとも思うのですが、またコートに行きたくなるのだろうとも思います。そのときは現役の皆さんお手柔らかにお願いします。これからはOGという立場でこの部の発展に少しでも貢献していきたいと思います。
長くなりましたが、拙い文章にここまでお付き合いくださりありがとうございました。