「あなたが学生時代最も力を入れたことは何ですか?」
「その活動を通して、あなたが成し遂げたことや学んだことは何ですか?」
現在、学部4年かつ修士1年という立場で就職活動を行っている私は、これらの質問への受け答えをするときにどうしても辛い気持ちになってしまう。毎回決まって自分が主将を務めていたときの取り組みを中心に部活のことを語りはするものの、正直いつも自信がない。「〇〇という取り組みはチームのためになりました」と答えるたびに、部員に対して申し訳なく思う。当時は一生懸命やっていたはずなのに何故堂々と語れないのだろうと、つい先日受けた面接の後に真剣に考えた。その結果、私の現役時代(特に主将を務めた一年間)にはある重要なことが足りていなかったからだという結論に至った。この自己分析の深堀りをもって、私の随想とさせていただきたいと思う。
私は、部員を巻き込んで行動を起こすことができていなかった。部員各々、特に同期の良いところを生かせずに一人で突っ走ってしまっていた。主将失格である。そのことを自覚し、時に指摘されながらも、結局どうしたらいいか分からないまま主将としての一年間が過ぎてしまった。だから、自分が主将として行ったことに対して自信を持てず、あの時の自分はから回っていたのではないかと現在でも不安に思ってしまう。もし私に、部員が自然についていきたくなる程のテニスの実力や、自分が一度決めたことをやり抜く度胸といったようなリーダーとしての資質があれば上手く機能したのかもしれないが、残念ながら当時の私はどちらも持ち合わせていなかった。
特に、あんなに個性あふれる素晴らしい同期3人を生かして組織を動かせなかったことについては、主将を廣江に引き継いだ後も、引退した今もずっと後悔している。瀬川は「絶対に自分がリーグで勝たねばならない」という使命感を誰よりも持って練習しており、出場機会に恵まれない部員もいる中で選手として戦う上での鏡のような存在だった。瀬口は、一橋の部員はもちろん、一度対戦したことがあるだけの相手に対しても長所短所を正確に分析し、上達あるいは勝ちへの最短経路を示してくれる女子部のブレインだった。多部田は、自分自身が辛い時でも、部員一人ひとりや部全体の雰囲気に関する変化に気付いて改善のための気遣いをしており、ややもすると崩壊してしまいそうな不安定な女子部を支えてくれていた。恥ずかしながらついでに自分のことも評価すると、どんな状況でも自分を律する力と計画性だけは優れていたと思う。
改めて自分含めた4人の同期について考えると、なんとバランスのいい構成ではないかと思う(バランスが良くなるように皆が行動を変えてくれたという説もある)。それにも関わらず、当時の私は自分の「リーダーとしての資質のなさ」に焦り、どう振舞おうかということばかり考え、同期に頼ることすら情けないことだと思ってしまっていた。本来は、自分に資質がないからこそ頼らなければならなかったのに、本当に勿体ないことをしたと思っている。
このような救いようのないポンコツ主将の私であったが、幸運なことに自分が主将として迎えた二回のリーグは、どちらもチームとしては一敗であり、7部の優勝争いに食い込むことができていた。この結果からすると(かなり短絡的ではあるが)、おそらく私が主将として打った施策は何らかのプラスの意味を持っていたんだと思う。だからこそ、もし部員をもっと巻き込むことができていたら7部優勝6部昇格できたのではないか、という後悔の念が消えない。また、二回のリーグとも私の敗戦が優勝を逃した痛い試合となっているのだが、これについて語るとさらに100ページくらい必要になりそうなので割愛する。是非女子部の後輩たちは当該試合のビデオを見て、プレッシャーがかかった場面での私の情けないプレーを反面教師にして頂きたい。
以上が、自分の主将時代に現在でも自信を持てない原因の自己分析である。果たしてこの話が誰にとって役立つのかは分からないが、一番言いたいのは部員を信頼して協力したほうがいいよということである。至極当たり前の話だ。でもそれが私にとって一番難しかった。4年間という長い現役としての活動のうち1年間だけにスポットライトを当てた随想ではあるが、どれだけ私にとって主将としての一年間が重要で、その分どれだけの後悔があるかを理解頂ければ幸いである。
最後に、私が一橋大学体育会ソフトテニス部として活動するにあたってご支援いただいた全ての方々に、心から感謝の言葉を申し上げたい。今度は私がOGとして、それらの支援を後輩たちに還元していきたいと思っている。今後とも、宜しくお願い申し上げます。