ボツワナ共和国でのボランティア活動報告~海外青年協力隊への参加~
H18年社会学部卒業 圓山佐登子
私は一橋大学卒業後、日本IBMへ入社し、法人営業として9年間勤めていました。高校時代のアメリカへの交換留学経験など昔から海外に興味があったことと、東日本大震災の際に1週間の現地ボランティアへ参加し、社会人10年目を前に社会貢献の活動に興味をもったことから、青年海外協力隊へ興味をもちました。また会社に『ボランティアサービス休職』という制度があり、会社が社会貢献と認定する活動に従事する場合、最大2年間の休職が認められるということも参加の後押しとなり、2013年の10月から3ヶ月間の国内派遣前研修を経て、2014年1月にボツワナへ派遣されました。
現地ではサン族(通称ブッシュマン)の人々が暮らす村で収入源創出活動として、手工芸品の作成指導と、商品販売のための仕組み作りのプロジェクトを立ち上げました。サン族はもともとラハリ砂漠で狩猟採集の生活をしてきた人々です。現在は政府の生活保護に頼った生活で「仕事をして、お金を稼ぐ」という習慣がありません。そのような人々を活動していくことは、まさに驚きと苦労と失望(!)の連続でした。
時間の感覚、仕事への姿勢、Quality。自分の中の「常識」と彼らの「当たり前」のGAPに日々苦しみ、そして時間をかけてお互い受け入れていく、まさに『3歩進んで2.8歩下がる』ような感覚でした。それでも少しづつ彼らに技術や知識が身についていき、プロジェクトが形になっていくことはとても新鮮でした。
当初は受身で、不平不満も多くなかなか活動が定着しませんでしたが、実際に自分のモノが売れてお金が手元に入ってくると彼らの活動に対しての姿勢も積極的になってきて、自分の仕事に自信を持つことで、発言にも前向きさや向上心が感じられるようになりました。実際の収入源の確保ももちろんですが、そういった姿勢の変化がとてもうれしく感じました。
彼らの生活は決して恵まれていませんが、家族の幸せを基本考え助け合っていくこと、笑顔で毎日楽しく生きることなど基本的ことが当たり前に根づいていました。私も当初は日本と同じ感覚でいたので活動の進捗が思わしくないと落ち込んだり、目の前に問題に苛立つこともありましたが、『そんなに考えすぎるな。もっとHappyに生きよう』という彼らからの言葉や豊かな感性に学ぶことが多くありました。
私は2015年9月に日本に帰国し職場に復帰しました。現在はこのプロジェクト別のボランティアが継続して支援をしています。小さくとも継続性のあるプロジェクトとしていつか現地の人だけ運営ができるようなることを祈っています。そして、私はボツワナで得た経験と新しい価値観を大切に、人生に生かしていきたいと思っています。
※圓山氏には2015年11月11日(水)の球朋総会にて、同様のテーマでご講演いただきました。