前立腺生研の体験談

 

 

 

昨日の遊球会にて、私の前立腺生検の体験につき、ご質問がありました。

 

お酒の席で詳しく説明ができませんでしたので、以下にまとめます。

 

 

 

1.そもそも前立腺とは何か?

 

前立腺は膀胱の前で尿道を挟むように位置するクルミ大の臓器です。

 

別途、睾丸ともつながっており、性的興奮に伴い精子が上昇して、前立腺液と混ざり、尿道より一気に精液を放出します。(射精)

 

この時、膀胱の出口付近にある括約筋が収縮するので、膀胱内に逆流して尿と混ざったり、尿が出てくるようなことにはなりません。

 

前立腺液は精子を保護すると共に、精液に一定の量を確保する意味があるようです。(精子のみだと微量すぎて、子宮内に送り出せない。)

 

あの精液特有の匂いは前立腺液の匂いです。

 

 

 

なお、前立腺が肥大すると、尿道が圧迫され排尿に不具合が生じますが、前立腺ガンとは別物です。

 

 

 

私も2009年ごろより、オシッコが近くなったり、尿漏れしたり、排尿に不具合があり、思い切って泌尿器科の門を叩き、前立腺肥大の診断を得ました。

 

幸い、フリパスを5年ほど服薬することにより、現在ではほぼ治りました。

 

 

 

2.PSA検査について

 

PSA腫瘍マーカーは、前立腺ガンの「可能性」をスクリーニングする為にあります。

 

 

 

PSA 基準値の4-10が所謂「グレーゾーン」であり、ガンの可能性が2030%あり、

 

基準値10を超えるとガンの可能性50%以上と言われてます。

 

なお、前立腺肥大や前立腺炎でもPSA値が上昇することがあり、がんを特定するには、後述の前立腺生検を行う必要があります。

 

 

 

私は、前述の前立腺肥大の治療に平行して、定期的にPSA検査をして来ましたが、

 

20124月にPSA値が5.2に上昇しました。(私の通常値は2-3程度)

 

医者はもうしばらく経過観察することを考えていたようでしたが、私は前立腺の生検を強く要求しました。

 

 

 

 と言うのは、2008年暮れに肺がんを偶然発見した切っ掛けがCEAマーカーだったからです。

 

CEAは消化器がんや肺がん等を発見するためのマーカーで、基準値4に対して私は4.1でした。誤差の範囲内と思われましたが、人間ドックの医師はCT検査を勧めてくれ、結果ガンが見つかりました。(3.5cmもありました)

 

20091月に手術が成功し、私は7年間生存してます。

 

(肺がんの5年間生存率は約30%です。)

 

 

 

3.前立腺の生検

 

私は20127月に三井記念病院の泌尿器科にて、前立腺の生検を行いました。

 

細い針で、前立腺内の組織を取り出し、病理検査によりガンおよびその悪性度を判定します。三井では、会陰部経由で12本、直腸内経由で12本の合計24本の針で組織を取り出します。これは違った方向からサンプルを取ることにより、ガンの見逃しを防ぐことにあります。全身麻酔のもと行いました。(12日)

 

検査方法は病院により違い、18本のみのケースや局所麻酔だけのケースがあります。

 

なお、12本だけの病院もありますが、見逃しのリスクはないのでしょうか?

 

 

 

私の結果は、幸いなことに、「ガンの所見なし」でした。その後のPSAは2.5程度で推移してます。なぜ、一時的にPSA値が上がったのかは、よく分かりません。

 

 

 

なお、検査後に会陰部が23時間チクチクしました。最初の尿だけ少し痛く、ピンク色でした。

 

 

 

4.前立腺がんの手術

 

万が一、前立腺がんが見つかった場合、パニックにならないで下さい。

 

 

 

4.1 生存率が高い

 

前立腺がんの5年生存率は97%です。 

 

対して、大腸が70%、胃65%、肝臓33%、肺27%、すい臓8%です。

 

 

 

4.2 進行が遅い

 

天寿を全うされた方やガン以外で亡くなられた高齢者を解剖すると前立腺がんがみつかるケースが多いとのこと。つまり前立腺がんは直接の死因ではなかった。

 

ラテント・ガンと呼ばれてます。高齢者の場合は放置して、そのまま墓場まで前立腺がんを持参いただくこともあります。

 

進行が遅いので対策の検討に十分な時間もとれます。

 

 

 

4.3.手術の選択肢が多い

 

手術療法(全摘手術、内視鏡手術、ロボット手術)、放射線療法(3DIMRT、重粒子線、小線源、HDR

 

ホルモン療法、抗がん剤、超音波(HIFU)、そして高齢者には放置療法

 

 

 

なお、将棋の米長名人は65歳で前立腺がんが見つかり、担当医からは全摘手術を勧められますが、性機能の温存を重視し(男の沽券にかかわる)、複数の医者と議論の末、HDR(高線量組織内照射)を選びます。一部始終を手記として残されています。

 

 

 

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残念ながら、4年後に再発し、69歳で亡くなられましたが、主体的な生き方に感銘を受けました。

 

 

 

5.参考情報

 

 

 

前立腺の生検は以下のURLが参考になります。

 

http://www.tmd.ac.jp/med/uro/practice/cure/biopsy.html

 

 

 

前立腺の手術法

 

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癌にかんする情報

 

http://ganjoho.jp/public/index.html

 

 

 

以上、参考になれば幸いです。

 

 

 

 

 

朝倉勝則